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自衛隊の「災害派遣」と民生支援




自衛隊の「災害派遣」と民生支援
   


災害派遣と一言で言っても、地震や洪水での被災者救助だけではありません。不発弾の処理も良く知られた自衛隊の民生協力のひとつです。ほかにも離島からの緊急患者空輸や、北海道や東北地域で発生する雪害での除雪なども、レッキとした災害派遣要請を受けて自衛隊が行う災害派遣任務です。さて、自衛隊では「災害派遣に行く部隊」というのはあらかじめ決まっているのでしょうか。実は何処の何の部隊、と決まっているわけではなく、その地区の警備担任部隊が第一義的に派遣されます。また、「近傍派遣」は自衛隊駐屯地や基地のすぐ間近で起きた災害、火災などに対して出動することで、あくまで「ご近所づきあい」の範囲で都道府県知事の出動命令を待たずして、自衛隊の自らの判断で出動し、救助、救護などが可能になっており、近隣住民には頼もしい制度です。 

東日本大震災での活動

2011年3月11日に発生した東北沖を震源とする巨大地震および津波災害。さらに津波による電源喪失で福島第一原発の爆発、放射性物質大量漏洩が発生しました。自衛隊の活躍、米軍の支援はもはや言うまでもないことです。東日本大震災のテレビ報道ではヘリコプターによる地面スレスレのホバリング、ハーフピッチにて病院屋上から陸自UH-60JAが次々と取り残された患者らを救出収容していくシーンが放映され「自衛隊の神テクニック」として話題になりました。被災した病院建物に着地して機体重量をかけないため(「MAMOR」2012年5月号記事より) とのことです。パイロットの腕もさることながら、UH-60JAという世界最強の汎用(はんよう)ヘリコプターだからこそ出来たものでしょうか。また、大型ヘリのCH-47による福島第一原発に対する水バケットでの消火も行われています。

雪害への対処


さて、冒頭でも書きましたが、自衛隊が対応する災害のうち、北海道や東北地域で、特に多いのが冬場の雪害です。北海道では道東のみならず、岩見沢市や室蘭市、登別市などでも近年発生しており各市が道庁を通じて自衛隊に災害派遣を要請しています。雪害はひとたび発生すれば、湿った重い雪が送電線や鉄塔に大量に付着、その重みで鉄塔などが倒壊し停電などが起こり地域住民が孤立したり、交通や経済が一時的に麻痺してしまいます。自衛隊はそのマンパワーと資機材を活かして電力を供給したり、除雪、入浴支援、食事の提供、医療、輸送などを担うことが出来ます。なお、かつてあった雪害での災害派遣では自衛隊が火炎放射器で雪を溶かす作業を行っています。しかし、大量の雪を溶かすには大量の燃料が必要であり、あまり効率的ではなかったため、昨今の雪害に係る災害派遣では火炎放射器が用いられることはありません。 雪害に対応する陸自の装備には、78式と10式雪上車があるほか、施設部隊のショベルカーなど建設車両も活躍します。

自衛隊の民生支援とは?


民生支援は自衛隊の人員や、さらに装備資機材を使って民間へ様々な協力をすることを言います。災害派遣に限ったことではなく、オリンピックやマラソン大会などでも医療救護の人員を派遣するなどなどで活躍しています。また自衛隊が協力し雪像を制作している、さっぽろ雪まつりなどは民生支援の最たるものであると言えるでしょう。

自衛官のボランティアから始まった「援農」という民間への支援


援農とは昭和40年代の高度成長期、人手不足に悩む北海道や東北の農家にて自衛隊員が米を作ってくれていた本当にありがたい話です。そういえば右向け左!で「援農部隊」に左遷させられたやつがいたっけ。当初、北海道の岩見沢などで農家の人手不足で、高齢のおじいちゃんおばあちゃんの農家さんがなんとかやっていっていたのですが、それに心を痛めた農家出身の自衛官が自発的に休日を利用して農業のボランティアをしたことが援農という自衛隊の民生協力のはじまりになりました。この心温まる民生協力の結果農家の娘さんと恋が芽生えて結婚した自衛隊員もいます。いえ、ウソではありません。

参考文献  http://www.tokachi.pref.hokkaido.jp/d-archive/sityousonsi/urahoro_nougyou.htm

民生支援で自衛隊が実弾を発砲した例


自衛隊では過去、自治体からの要請で民生支援において実弾を発射したことが多々あります。以前、陸上自衛隊では北海道庁より要請を受けて漁場を荒らすトド対策に対空機関砲を海面に向けて発射し、駆除を行いました。青森県でも昭和三十四年三月二十六日、航空自衛隊の三沢第三飛行隊(当時)のF86F戦闘機が地元の海岸で食害に悩む漁師と県から要請を受けて、トドに対して機銃掃射を行ったこともあります。一方、「谷川岳宙吊り遺体収容」では険しい斜面にザイルでぶらさがった状態になってしまった被災者の御遺体を回収するため、小銃と機関銃を発砲し、ザイルを切断、遺体を収容したこともあります。この事案では自衛隊の中でもとびきり優秀な狙撃手が集められましたが、実際にザイルが切断されるまでに実に1300発の実弾が使われました。現在だと、写真のようなM24スナイパーライフルが使用されるのでしょうか。

タンカー撃沈事案


画像引用元 海上自衛隊公式HP
民生協力で実弾発砲の例はほかにも海上自衛隊の護衛艦や潜水艦が魚雷を発射し、火災タンカーを沈めるという消火作業を行ったこともあります。この事案は1974年11月9日、東京湾の中ノ瀬航路において起きたもので、日本船籍のLPG・石油タンカー「第十雄洋丸」の船首に、リベリア船籍の貨物船「パシフィック・アレス」が突っ込む形での衝突事故が発生しました。海上保安庁は第十雄洋丸の処分を防衛庁(当時)に依頼し、宇野宗佑防衛庁長官は自衛艦隊へその処分を命じました。そして第十雄洋丸の処分のため、「DDH-141 はるな」を旗艦とする「DD-164 たかつき」、「DD-166 もちづき」、「DD-101 ゆきかぜ」から成る護衛艦部隊、潜水艦「SS-569 なるしお」およびP-2J対潜哨戒機が出動しました。魚雷のみならず、砲撃、P-2H(P2V-7) ネプチューンによるロケット弾攻撃などを用いて、最終的に"撃沈"して消火に成功しました。このとき、報じられたテレビの番組はいまでも自衛隊体験入隊などで資料として見せられることもあります。

実弾を撃たなかった民生支援 「白糠の夜明け作戦 」


近年、陸上自衛隊が北海道の要請を受けて新たに取り組み行う、白糠(しらぬか)の夜明け作戦が始まりました。これはロシア空挺軍に占領された白糠町奪還作戦ではなく、北海道の増え過ぎたエゾシカを駆除するハンターを支援するための作戦です。本作戦における自衛隊の役割は、ヘリを使って上空からのエゾシカの確認と追い込み、駆除されたエゾシカの運搬となります。自衛隊がM24SWSでエゾシカを撃って駆除しているわけではなく、あくまで実際の駆除はハンターが行い、自衛隊の任務はその"後方支援"となっているのが特徴です。なお、北海道内では行方不明者捜索中の陸自隊員が、捜索中にバッタリ会ってしまったヒグマに対して小銃を発砲し、駆除を行ったこともあります。ちょっと怖い。



ありがとう自衛隊―陸上自衛隊岩手駐屯地●東日本大震災「災害派遣」記録


ありがとう自衛隊―陸上自衛隊岩手駐屯地
●東日本大震災「災害派遣」記録
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